どうも38です!
以前、顧客から「IT導入補助金を使って○○をしたいんだけど」という問合せを頂いたことがありました。
補助金ときくと、申請書書いて、提出して、審査受けて…とイメージしたのですが、このIT導入補助金は、なんかちょっと違う?!
と、いうわけで、今回は、IT導入補助金(以下、補助金)のわかりやすすぎる解説にトライしたいと思います(^^)/
目次
IT導入補助金とは?
2017年に始まった経済産業省所管の補助制度で、中小企業・自営業者がITツールを導入するときに使える制度です。
目的は、「自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくこと」であり、ITツールの導入はおまけみたいなものです。
つまり、
- 目的:経営力の向上・強化
- 手段:ITツールの導入
ということです。
ゆえに、ITツール導入までの流れが少しユニークなんです。
どこがユニークかは、都度説明しますね!
3類型の中から1種類選んで申請する!
IT導入補助金には、通常枠であるA・B 、そして特別枠であるCの3つの類型(種類)があります。
C類型は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い事業環境が受けた影響への対策や感染拡大防止に向け、具体的な対策に取り組む事業者のITツール導入を優先的に支援するために2020年に創設された枠になります。
相違点を表にまとめてみました!
補助率 |
補助下限〜 |
主な条件 |
|
A類型 |
2分の1 |
30万円〜 |
必ず1つ以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること |
B類型 |
150万円〜 |
必ず4つ以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請すること |
|
C類型−1 |
3分の2 |
30万円〜 |
「サプライチェーンの毀損への対応」に資するITツールが1つ以上含まれていること、補助対象経費の6分の1以上が上記ITツールへの投資であること |
C類型−1 |
150万円〜 |
||
C類型−2 |
4分の3 |
30万円〜 |
「非対面型ビジネスモデルへの変換」あるいは「テレワーク環境の整備」に資するITツールが1つ以上含まれていること、補助対象経費の6分の1以上が上記ITツールへの投資であること |
C類型−2 |
300万円〜 |
補助金の計算例
補助率の考え方がちょっと難しいかも、と思うので補助金を最大額獲得する場合の例を計算してみました。
(例)B類型
・ITツールの導入費用総額=補助対象経費+補助対象外経費(*)
1200万円=900万円+300万円
・補助金額=補助対象経費の2分の1以内=900万円÷(1/2)=450万円
(例)C類型−1
・ITツールの導入費用総額=補助対象経費+補助対象外経費(*)
1200万円=675万円+525万円
・補助金額=補助対象経費の3分の2以内=675万円×(2/3)=450万円
(例)C類型−2
・ITツールの導入費用総額=補助対象経費+補助対象外経費(*)
1200万円=600万円+600万円
・補助金額=補助対象経費の4分の3以内=600万円×(3/4)=450万円
なお、C累計で「賃上げ目標実行宣言:有り」で申請した場合、目標達成できないと、補助金の全部、あるいは、一部返還になる場合がありますので、ご留意くださいませね。
*項目「その他、主な留意点」に記載いたしますが、いずれの類型もITツールの導入に必要な費用だけれど、補助金の対象とならない費用があります
IT導入補助金における、ITツールとは?
次の2つの条件を満たすものをITツールと定義しています。
①あなた(補助事業者)の労働生産性向上に資する下記ITツールのいずれか。
②あらかじめ「IT導入補助金事務局」(以下、事務局)に登録された「IT導入支援事業者」(以下、支援事業者)が提供するもの。
つまり、事務局が提示するリストの中にあるソフトウェアなどしか導入できない、と言うことです。
ITツールであれば何でも補助金が適用されるわけではない、というのがユニークな点の1つです。
【A・B類型のITツール】
ソフトウェア |
①顧客対応・販売支援 |
ソフトウェア |
①自動化・分析ツール |
役務 |
①導入コンサルティング |
【C類型−1のITツール】
「サプライチェーンの毀損への対応」に資するITツール
【C類型−2のITツール】
「非対面型ビジネスモデルへの変換」あるいは「テレワーク環境の整備」に資するITツール
【C類型−1と2に共通のITツール】
a)〜c)に該当するハードウェアレンタル費用
a)
デスクトップ型PC、ラップトップ型PC(ノートPC)、タブレット型PC、スマートフォン
b)
上記a)に接続して使う、Webカメラ、マイク、スピーカー、ヘッドセット、ルーター(Wifiルーター・アクセスポイント等)、ディスプレイ、プリンター
c)キャッシュレス決済端末及び付属品
補助対象となる事業者
この補助金、誰でも申請できるかというとそうではなく、15の要件を満たしている必要があります。
なお、「B類型」で申請する場合は、要件が1つ増えて16になります。
具体的には、以下をご覧くださいませ。
業種・組織形態、資本金、常勤の従業員数で補助対象になるかどうかが決まります。
また、15(あるいは16)個の要件を満たしていても、次に該当する方は、補助対象となりませんのでご注意くださいませー
1. 以下の①〜③のいずれかに該当する事業者
①発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
②発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
③大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
2. IT導入補助金2020において「IT導入支援事業者」に登録されている事業者
3. 経済産業省から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
4. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営む事業者(旅館業法第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営む事業者(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く)を除く。)
5. 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
6. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団等の反社会的勢力に関係する事業者
7. 宗教法人
8. 法人格のない任意団体(例:同窓会・PTA・サークル等)
9. その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び中小機構並びに事務局が判断する者
詳しくは、補助対象となる事業者(https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html)の下部を見てくださいね!
ITツール導入までの大まかな流れ
- 「支援機関」に経営課題や課題解決のためのITツールを相談する
支援機関とは、「よろず支援拠点」、「商工会」、「商工会議所」、「ITコーディネーター」など。
支援機関に相談しないと申請できない、というのがユニークな点の1つです。 - 事務局に登録されているものから導入したいITツールを選ぶ&支援事業者を決定し、支援事業者の支援のもとホームページから申請する
登録済みのITツールや、支援事業者は、「T導入支援事業者・ITツール検索」で検索することができます。 - 審査を経て採択されれば、晴れてITツールを導入!
- 事務局に対し、実績報告を行う申請通りにITツールを導入したこと(事業実施)を報告
これにより補助金額が確定し、補助金が交付され(口座に振り込まれ)ます
つまり、ひとまずITツール導入にかかる費用全額を自分で用意しなければならないということです。辛いところですね。 - 2022年から2024年までの3回、事業実施効果報告を行う
補助金を貰って終わりではなく、3年間は事業実施効果報告を行う必要があります。
面倒だけれど、補助金=税金だから、しっかりやりましょう!
ほとんどの補助金が自力で申請しないといけない点を考えると、支援機関や支援事業者のサポートを受けられる点はユニークであり、かつ、ありがたいですね^^
その他、主な留意点
- 補助対象外となる経費があること
例えば、ハードウェアの購入・レンタル費用、ソフトウェアでも料金体系が従量課金方式のもの、ECサイトやホームページ制作費用などは補助対象外経費です。
仮に事務局のリストにあるITツールの導入にあたって必要不可欠な経費でも対象外となる経費がある点は、留意が必要ですね。
なお、C類型のみハードウェアのレンタル費用が補助対象経費となっております。 - 交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った申請は、補助金を受けることができない
ただし、C類型のみ2020年4月7日以降に契約を行った(事務局に登録済みの)ITツールに関しては、さかのぼって申請することができます。 - 補助事業に係る経費については、補助金以外の経理と明確に区別し、その収支状況を会計帳簿によって明らかにしておくこと
この他にもいくつか留意点があったり、申請審査時の加点・減点のポイントなどが交付規定や公募要領に書いてあるので、面倒かもしれませんが精読されることをオススメします。
まとめ
IT導入補助金を概観してみましたが、いかがでしたでしょうか?
交付規定や公募要領などを見ると、文字だらけで頭が痛くなるかもしれませんが、目的を持ってITツールを導入する計画があるのであれば、活用して損はないかと。
補助金ありきで申請するパターンは、あまりオススメしないです。大抵、活用されないままになってしまうので…
「うーん、やっぱり、よくわからん!」という方は、とりあえずお近くの支援機関や支援事業者に相談してみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました(^0^)/