どうも38です!
ここ数年、ありがたいことに出前講座の講師として小学生たちにロボットプログラミングを教える機会を何度か頂戴しました。
それらは、今年度(2020年度)まず小学校で必修化されたプログラミング教育を見据えた依頼ではありませんでした。
が、そうは言っても先生方の期待は…ということで、文部科学省(以下、文科省)がどのような意図でプログラミング教育を実施しようとしているのか、自分なりに調べたうえで、講座に挑みました。
今回は、せっかくなので、その調べた内容をご紹介したいと思います!
目次
なぜ、文科省は「プログラミング教育するぞ!」と言い出したのか?
文科省は、『小学校プロラグミング教育の手引き(第三版)』(以下、手引き)で、プログラミング教育が必要な理由を次のとおり説明しています。
コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けることは、あらゆる活動においてコンピュータ等を活用することが求められるこれからの社会を生きていく子供たちにとって、将来どのような職業に就くとしても、極めて重要なこと
つまり、「読み・書き・そろばん」なーんて言ったりしてきた基本中の基本の能力の一つに、コンピュータ活用能力が加わったイメージでしょうか。
「あらゆる活動においてコンピュータ等を活用することが求められるこれからの社会」が本当に到来するのかは誰にもわかりませんが、まぁ、備えあれ憂い無し、ということなのでしょう。
(だいたい、「ITのプロたるもの、ユーザーにコンピュータを使っていることを意識させたら失敗!」と、教育されてきたよ。ユーザーは仕組みなんて知る必要なく、だからこそわ私たちが食べて行けるわけで…)
小学校におけるプログラミング教育のねらい(目的)を確認!
手引きでは、小学校におけるプログラミング教育のねらいを次のとおり示しています。
- 「プログラミング的思考」を育むこと
- ①プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにすること
②コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと - 各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること
はい、出ましたープログラミング的思考!
私、プログラマー(自称)だけれど、プログラミング的思考なんて教えてもらったことなーい!と、初めてこの単語を見たとき思いました。
きっと、最近流行りのデザイン思考やアート思考という単語を見たデザイナーさんやアーティストさんもそう思ったに違いない。
プロラグミング的思考とは、有識者会議[1]「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」、正式名称長すぎっ!の「議論の取りまとめ」において次のとおり説明されています。
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組合せたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
普段、プログラマーがしている作業、そのままですね。ここまで端的に説明できるのすごい!
そして、ねらいの3、意味不明すぎ!と思ったら、次のような例が示されていました。
(例)算数科:正多角形についての学習
プログラミングによって正多角形を作図する学習活動に取り組む
⇒定規等を使い手作業で作図するより、正多角形の性質をより確実に理解!
つまり、プログラミングを教材の一つとして考えよう、というのがねらい3なのかな。簡単に言うと。
どの内容にプログラミングを適用するのか・できるのかを先生方が考えるのは大変でしょうから、教材屋さんがいろいろ開発するんだろうなー
ねらいにおいて大事なのは、「プログラミング言語を覚えたり、プログラミング技能を習得したりすること自体をねらいとはしない」と明言されていること。
しかし、「学習指導要領では児童がプログラミングを体験することを求めており、児童がコンピュータをほとんど用いないということは望ましくない」という…
そう、どうあがいてもプログラミングの実施自体は避けてとおれない〜先生方大変。
小学校におけるプログラミング教育の位置づけ
「学習指導要領」では、プログラミング教育=「情報活用能力」と位置付けられています。
情報活用能力とは、「学習指導要領解説総則編」において次のとおり定義されています。
- 学習活動において必要に応じてコンピュータ等の情報手段を適切に用いて、情報を得たり、整理・比較したり、発言・伝達したり、保存・共有したりといったことができる力
- 1のような学習活動に必要な情報手段の基本的な操作能力や、プログラミング的思考、情報モラル、情報セキュリティ等に関する資質・能力も含む
つまり、プログラミング教育は、情報活用能力育成の一部分に過ぎない、のです。
なお、情報活用能力については、「次世代の教育情報化推進事業(情報教育の推進等に関する調査研究)(IE-School)」が『情報活用能力の体系表例』として一覧化しています。
見るとわかるのですが、小学校のプログラミング教育に含まれない内容も記載されています。
これは、情報活用能力を小学校、中学校、高校を通じて育成する設計になっているからだそうです。
そう、小学校だけじゃない!プログラミング教育の必修化
今年度(2020年度)から始まる、ということで小学校におけるプログラミング教育ばかり注目されがちですが、中学校は2021年度から、高校では2022年度から必修化されるそうです。
有識者会議の「議論の取りまとめ」では、プログラミング教育で育む知識・技能を次のとおり示しています。
- 小学校
身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと - 中学校
社会におけるコンピュータの役割や影響を理解するとともに、簡単なプログラムを作成できるようにすること - 高校
コンピュータの働きを科学的に理解するとともに、実際の問題解決にコンピュータを活用できるようにすること
どうしてもコンピュータを魔法の箱(ブラックボックス)にしたくない感をひしひしと感じます。
「コンピュータの働きを科学的に理解してなくとも、プログラミングできるぜ!」なーんて言ったら怒られるんだろうな。でも、事実よ。
さいごに
文科省の意図を整理してみましたが、いかがでしたでしょうか?
なお、手引きの以下の記述を見て、私は震えました。
学校の教育活動は、各学校の教育目標の下で、児童や学校、地域の実情に応じて、各学校において創意工夫を生かした教育課程を編成して実施されるものであり、プログラミング教育も例外ではありません。(略)各学校の創育工夫を生かしたプログラミング教育が展開されることが期待されます。
プログラミングなんてやったことなーい、という先生が多いだろうことが予想されるなかで、この文言。ハードル高すぎやしないでしょうか?
先生って本当、大変ですね(T . T)
というわけで、そんな先生方の参考に少しでもなればいいな、ってことで、次回は具体的にどんな講座を実施したのか、書ける範囲でまとめたいなーと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/
References
↑1 | 「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」、正式名称長すぎっ! |